2023年3月16日(木)午後2時~4時
新所沢公民館ホール
新所沢の駅前では、早咲きの桜が薄ピンクの花をつけ春の訪れを告げていた。コロナ前の2019年に第5回が開催されてから4年もの歳月が流れ、「第6回 落語を楽しむ会」が新所沢公民館ホールで開催された。今回も所沢文化フォーラムの主催で富岡落語研究会の後援を得て開催の運びとなっている。多くの落語ファンが待ちわびていたイベントだっただけに、会場はあっという間に満席の状態となり、終始笑いの渦に満たされていた。
前座で登場したのは、女性噺家の桂南海(かつらなんしー)さんで、かの有名な「まんじゅう怖い」の演目を現代風にアレンジし、表情豊かな演技で観客を和ませてくれた。女性の噺家が活躍する時代となったことは歓迎すべきことだと改めて感じた。
次に登場した二つ目の春風亭昇吾(しゅんぷうていしょうご)さんからは、『前座は4年で二つ目となり、10年で真打になる』との話しがあった。前座を務めた南海さんが落語界に入門したのが2019年で、コロナが始まった年だそうだ。ソーシャルディスタンスで、舞台には透明のアクリル板が設置され、話しづらかったとの話しがあった。また、緊急事態宣言が発令され、寄席が中止となり自宅待機していた時に、小学生の息子さんから『お父さんは、失業したの?』と辛らつな言葉を投げかけられたことなど、コロナ禍での苦労話をコミカルに披露してくれた。
昇吾さんは、笑点の司会者の春風亭昇太師匠の弟子である。演目は、禁酒を誓った親子の話で、湯呑に注いだお酒を啜る仕草や、塩辛を箸で食べる仕草が絶妙で、扇子と手ぬぐいですべてを表現する落語の魅力に改めて感心させられた。
最後には、笑点メンバーの三遊亭小遊三師匠の弟子である真打の三遊亭遊喜(さんゆうていゆうき)師匠が登場する。最初に落語会を襲ったコロナ禍での苦労話を披露してくれた。末廣亭に足しげく通ってくれた高齢のファンがコロナ後はめっきりと減り、しかし、その代わりに若い世代が落語を聞きに来てくれたこと、また、コロナ禍を契機に、深夜放送のラジオトークで落語の生ライブを始めたことなどを絶妙な話術で笑いを取り観客を魅了した。
仲入り後は、十八番の「こんにゃく問答」を披露。問答寺を訪れた雲水僧と住職に扮したこんにゃく屋の亭主が、ちぐはぐな問答を繰り広げる話である。最後は、雲水層がこんにゃく屋の亭主のジェスチャーを無言の行と勘違いして、とてもかなわぬ相手だと逃げ帰るという筋書きなのだが、最後の落ちで会場は爆笑の渦に包まれ、お開きとなった。『よう!真打!!』と思わず発したくなるほどの面白さだった。
来場者からはたくさんの感想が寄せられた。「初めて参加してとても楽しかった。南海さん、若くて声も大きな声でよかったです。」「昇吾さんの無芸、食べる芸がとても良かった。話術でなくこのような芸も引き付ける。」「さすがに、遊喜師匠の落語は面白かった。」「遊喜さん、楽しみました。気持ちが引き込まれますね。」等々。
この他にも、初めてきちんとした落語をじかに聞いた、楽しかった、久しぶりにお腹を抱えて笑ったなど、感謝の言葉を添えた感想をいただいた。皆さん、ありがとうございました。
文責:当摩 好子 (H18法)
写真:岡田 充 (S42商)
志賀 隆 (S51法)
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