去る2024年10月2日新所沢公民館ホール於いて、嘉悦大学副学長 真田幸光氏をお招きし、「混沌の世界経済を読み解く」の題で講演して頂きました。
当日は120名を超える来場者で、現在の世界情勢についての興味深い話で大いに盛り上がりました。
先ず、初めに考え方の姿勢として、真理を求め、俯瞰的視野に立ち世界を見極める力を持つ必要性の説明から講演はスタート。
講演内容としては、
1.現状の世界情勢はグローバルな視野ではなく国対国との関係(インターナシナル)
で世界を考え、国益が優先される事情から紛争・戦争につながっている厳しい状況にある事
こうした中で、日本は自国を再構築し、自ら生きられる国作りを目指す必要ある。そこで、生きていく上で欠かせない水、食料、原材料、エネルギー、そして物流を自給自足できる基盤を作る必要がある。(鎖国の出来る国)工夫と技術力で賄う力あり
2.日本の目指す方向については、生産性の低さを世界から指摘されているが、薄利多売を止め少量、変種、多品種又、機械化を進め、人のやれる仕事に徹底、付加価値を高める産業構造への変化を推進。目指す産業分野は世界の評価を受ける高度の製造装置、高度の新素材、グローバルメンテナンスに注力
3.現実の世界に変化が起きている。長く世界の秩序を形成してきた英米の支配体系(英語、通貨、法律、会計、時間)に対し中国の台頭により対立の図式が生じてきている。中国は、アジア圏を中心に中国語、通貨元の導入を図り中国圏の拡大を狙っている。
英米の牽引する金融経済も中露を中心とする実体経済に押されてきている。ウクライナ紛争により必要とされる物資(食糧(小麦)やエネルギー工業ガス、ニッケル)の決済通貨のシフトが進んでいる。(ドルからルーブル)。ただ、対立関係の各内部も決して一枚岩でない為仲間と敵を意味するフレネミーと言う造語も出てきている。
4.新冷戦+グローバルサウス(内部バラバラ)の枠組みで、非同盟国であった国々(インド、ブラジル、メキシコ、インドネシア、サウジアラビア等)が、グローバルサウスと呼ばれる新興国グループ(第3の極)を形成し、経済力を背景に英米にものが言える状況になってきている。
こうした不安定な三つ巴の世界(混沌)が定着しつつあるが(安定)、トレンドとしては混乱(disorder)に向かう可能性が高い。更にアナキー(無政府)の状況に陥る危険性も感じる。
こうした状況で日本は、インターナショナル(国対国との関係性での捉え方・対処の仕方)ではなくグローバリゼーション(グローバルな立場からの俯瞰的な捉え方・対処の仕方)に向かう必要がある。
5.金融・為替
インフレの高騰により政策金利が、引き上げられ5.5%となり日米の金利差が拡大キャリートレードと呼ばれる取引により円は162円台まで売られた。今はインフレの落ち着きから金利の引き下げにより140円台の円高傾向にある。
今後については、現在の中東の情勢により、原油価格が見通しづらいので予測は難しい。
購買力平価では円・ドルは、110円から120円がストライクゾーンで妥当な水準と考える。この水準に置くのが政治家の役割。
結び、
世界は今、「今だけ、金だけ、自分だけ」に代表される利己的な動きをする世界的なリーダーではなく、混乱から正常な世界へと導く「義を尊び、強さと優しさを併せ持つリーダー」の登場を期待している。
最後に、別途個別の質問タイムが、設けられ人の列が出来るほどの盛況な講演会となりました。
講演会終了後、幹事で近くの中華料理店で打ち上げを行い真田さんとの懇親を深め散会となりました。
文責:松尾 基昭(S47経)
写真:若松光太郎(S46政)
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