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事務局

日本・ユダヤ比較文化論講演会を終えて

 

講師 久保田修介

 本稿は2022年11月17日(木)、新所沢公民館ホールにおいて久保田修介氏による「日本文化源流の謎に迫る」と題する所沢文化フォーラム主催講演会のご報告です。

 当日は会場前にある新所沢中央公園の紅葉も深まりつつあり幸いにして好天にも恵まれましたが、一方でコロナ第8波の影響も懸念される中、聴講申込者数を10名ほど上回る98名という多くの方々に足を運んで戴きました。

 チラシや市の広報を見た多くの市民(遠くは国分寺から)の方々に加えて、所沢三田会会員の皆様の参加・協力を戴きまして、何より無事終演できましたことを当日スタッフ一同篤く御礼申し上げます。

 講演は1963(昭和38)年に慶應義塾大学法学部を卒業し、英国・イタリアでの工業・デザインの修行を経て、70歳を過ぎてから山形大学工学博士号を取得された異能の士である久保田修介氏が古代ユダヤと縄文日本の文化交流および民族交配の可能性についてまでを考察する意欲的な内容で、当摩好子会員による軽妙な司会進行により、約1時間半の貴重なお話を戴きました。

 久保田氏がユダヤに興味を抱かれたきっかけは、英国留学の際に多くのユダヤ系学生に大いに知的刺激を受けたことと回顧しておられますが、その後国内外のユダヤ研究者の多くの著作をベースにしながら、ユダヤ文化と日本文化との類似点について研究を深め、ここまでは客観的事実として公に紹介できるものとして行われた詳細な挙証説明が本講演の内容であったと思います。

 具体的には、①言語の類似性で「君が代」の歌詞がヘブライ語の意味で構成されていることや幾多の類似語の存在 ②「旧約聖書」と「日本書紀」の関係性と日本人の源流 ③正倉院の宝物と帽子をかぶった埴輪像 ④「神社神道」と「ユダヤ教」の相似性(伊勢神宮紋章と古代ユダヤダビデの紋章の酷似他、儀式・神社構造・鳥居・天狗・山伏の兜巾・ジオン祭りと祇園祭りなど枚挙にいとまがない)等々でした。

 また余談と断りつつも、「ユダヤ人を味方につける国は栄える=ユダヤ人を迫害する国は長くは栄えない」ことの証左として、当時東洋の弱小国日本の大きな国難であった日露戦争時に、ロシアから迫害を受けていたユダヤ人の協力で戦争公債による資金調達ができ、バルチック艦隊情報の支援も受けて大国に勝利することができた史実が述べられました。

 逆にその後の太平洋戦争敗戦に至る経緯においては、ユダヤ人との繋がりを失くしてしまったことが大きな過ちではなかったのかとの見解が示されました。

しかし講演のエピローグにおいては、ユダヤ人と日本人(縄文人)の類似性や関係性が科学的に実証されすぎるといらぬ軋轢を生む因ともなりかねず、「世界的なお伽話」として楽しむことが賢明ではないかとの見解を示されました。

 お話が終わった後の質問では「一神教のユダヤ人と多神教の日本人との違いがあるのでは?」との疑問が出されましたが、回答にあった時代の違いも含めて「興味の尽きぬお伽話」と解釈したいと思う気持ちと同時に、なぜかスティーブ・ジョブズの名言「Stay hungry, Stay foolish」が脳裏をよぎりました。(了)




                        文責:栗原 慶明(S47経)

                        写真:若松 光太郎(S46政)

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