所沢三田会 歴史研究会3月度の例会報告(2018年3月7日に実施)
歴史研究会の3月例会は小平市の「ガス・ミュージアム」と小金井公園内の「江戸東京たてもの園」の見学を行った。
参加者は11名(竹下、一色、小野、柿原、盛山、田中、 黛、岡田、青島、南、山本、敬称略)と盛況な会となった。
午前10時15分に東久留米駅に集合し、武蔵小金井駅行のバスに乗車、約25分の乗車でガスミュージアムのバス停に到着した。
ガス・ミュージアムでは、まずガス灯館で職員の方からガス灯の点火実演と解説を受ける。ガス灯の明るさのロウソクや電球との比較(明るさはロウソクの10倍、電球には劣る)、ガスのイルミネーションの点火実演には興味を惹かれた。
また、ガス灯は関東大震災を境に急速に衰微し、電灯が一気に優勢となったとのこと(ガス管が壊滅的に破損し復旧が遅れた為)。
その後、ガス灯館2階で行われていた企画展「小林清親展」を鑑賞した。小林清親は‘最後の浮世絵師’と称せらられる明治初期の版画家であり、代表作の「東京名所図」は北斎や広重といった江戸期の版画とは一線を画し、<光線画>と呼ばれる夜の光と影の表現、版画の彫り、摺りの超絶技巧には驚かされる。
ガス灯館に隣接するくらし館にも立ち寄りガス器具の変遷、ガスの生産方法を示した展示を見学、午前12時前に同館を後にし、バスにて次の訪問先である「江戸東京たてもの園」に向かった。
満員のバスに揺られること約25分、小金井公園西口で下車、公園内を5分程歩いて江戸東京たてもの園に到着した。入園後、まず昼食を1910年ドイツ人建築家が建てた「デ・ラランデ邸」内にあるカフェ「武蔵野茶房」でとることにした。カレーやジャーマンライス、 ドイツビールなどをいただいた。店内はクラシックな落ち着いた雰囲気で、女性従業員の丁寧な接客も好感がもてた(お値段は少し高め、お味はまずまずといったところ)。
ゆったりとしたランチタイムを終え、いよいよ見学スタート!。 ①大正14年建築の田園調布の家、当時としては珍しい全室が洋館。 ②昭和17年に建てられた有名建築家前川國男の邸宅。外観は和風、内部は吹き抜けの居間を中心としたモダンでシンプルな設計。 ③板橋区にあった常盤台写真場(昭和12年建築)、二階にスタジオ跡があり我々もちょっと威儀を正して記念撮影を一枚‼ ④港区西麻布にあった三井邸(昭和27年建築)、内部の豪奢な客間、食堂部分は京都のの油小路三井家より移築されたもの、復元された蔵や庭も一見の価値がある。
⑤江戸時代中期、後期に建てられた茅葺きの農家を見学、囲炉裏を囲んでボランティアの方としばし談笑、囲炉裏は暖を取るだけではなく、その煙は防虫、除湿の役割を果たす。 ⑥2.26事件の舞台となった高橋是清邸(明治35年建築)。是清が青年将校に殺害された2階寝室を見学、ボランティアの方の生々しい説明に全員、熱心に聞き入る。 ⑦明治から昭和にかけての商店、居酒屋、長屋等のレトロな町並みを再現した区域を見学。 防火対策として壁面に銅板を貼った、いわゆる看板建築の商店や長屋裏にある井戸端の風景には大いに郷愁を覚える。また、1856年(安政3年)に建てられたとされる居酒屋「鍵屋」も外観、店内ともレトロ感満載。ちなみに、「鍵屋」は場所を替え鶯谷で居酒屋として営業 を続けているとのこと、一度覗いてみたいものである。
午後3時半、江戸東京たてもの園の見学を終える。帰りは徒歩にて花小金井駅に向かった。 広大な小金井公園を抜け住宅地を歩き、桜並木の遊歩道(もちろん桜は咲いてなかったが) を通って約30分で駅に到着、午後4時解散となった
今回はガス・ミュージアムでガス灯やガスに関する社会科見学と明治期の浮世絵の美術鑑賞、江戸東京たてもの園では保存建築の歴史を建物内部より学び、行きはバス旅、帰りはウォーキングと盛りだくさんの内容となった。少々、ハードスケジュールであったが心地よい疲れを感じる充実した一日であった。 (写真:岡田 記録:山本)