歴史研究会の3月例会は都内大森地区にスポットを当て、周辺の美術・歴史探訪をテーマに行った。
今回の参加者は14名、午前10時池袋駅に集合しJR山手線、京浜東北線を乗り継ぎ大森駅に到着(40分)、バスに乗り換え10分、第一の訪問先、大田区立「龍子記念館」に向かう。
この記念館は日本画の大家・川端龍子の作品のみを展示した美術館であり、川端龍子自身が建物の設計に携わり、かつ建設費用も負担したという個人の名を冠した美術館しては稀有な存在である。
また、館内も個人の美術館とは思えぬ広さがあり、龍子の最大の特徴である大画面の迫力ある作品が非常に見やすく展示されている。
来館者は当会の14名のみであった為、ゆったりとした空間で、龍子の革新的・現代的なものから古典的、洋画的なものまで多種多様な作品群をじっくりと鑑賞することが出来た。
その後、学芸員の方の案内で道路を挟んだ向かいにある川端龍子の旧宅とアトリエ、お庭を見学した。
これらも龍子自身が設計に携わったことから随所に美術家らしいこだわり、感性が見受けられた。建材に竹をふんだんに用いた生垣や高床式建物、60帖もあるアトリエ、伝・俵屋宗達の描いた襖絵(展示はレプリカ)、あえて手を入れるのを控えた自然を残した庭など見どころ満載の場所であった。来館される際は、こちらにも立ち寄られることを強くお薦め致します。
約一時間の見学を終え、バスで大森駅に戻る。ランチは駅ビル「atre」5階のレストラン街でいただく。
昼時で混みあっていた為、てんぷらと中華の店に分かれる。両店ともお値段リーズナブル、お味も満足出来るものであった。
午後は徒歩で大森貝塚碑(発掘跡地)⇒大森貝塚跡地庭園⇒品川歴史館に向かう。
大森貝塚は明治10年、アメリカ人のモース博士が大森から品川へ向かう汽車の車窓から縄文時代の貝層を発見し、日本考古学発祥の地と言われるようになった。その発掘跡地に記念碑と跡地庭園が設けられ、JRの線路際にあるこの地に立つと往時をうかがい知ることが出来た。
品川区立「品川歴史館」は、東海道第一番目の宿場として栄えた品川宿の歴史を中心に、この地域の原始・古代から現代の歴史、また大森貝塚についても学べる場所である。ボランティアガイドの方の説明も受けることが出来、知識を深める有意義な時間を過ごせた。
また、この建物が旧財閥の安田家の敷地に建つことから、当時の庭園や茶室、また水琴窟なども残されており、それらも一見の価値有りと言える。午後3時過ぎ見学を終え現地で解散、ほとんどの方が徒歩で大森駅に戻り家路についた(所沢着は午後5時前)。
今回は、あまり知られていないが特徴のある穴場的な場所を2か所選び訪問先とした。龍子記念館、品川歴史館とも区立であることから料金が安く、維持・管理が行き届いている。また混みあっていないことから、ガイドを受けながらゆっくりと見学できる利点もある。
今後もこのような自治体が運営している資料館や博物館・美術館も例会の訪問先に加え、歴史研究会の活動の幅を拡げていきたい。
最後に、現幹事(柿原、青島、山本)は今回の例会をもって二年間の任期を終えることになりました。歴史研究会の会員各位のご協力のもと、毎回多くの参加をいただき、楽しく充実した同好会活動を行うことが出来ました。深く感謝いたします。
新年度からは新幹事(伊藤、志賀、南)を中心に、歴史研究会がさらに発展するよう皆で盛り上げていきたいと思います。
(写真:南、記録:山本)