今般同好会初めての試みとして、令和元年8月21日(水)小手指公民館にて、外部講師ソルナ株式会社(注)の取締役部長大月美里氏を招き「ネットの病」というテーマで講演して頂きました。
当日は、会員以外の方にも声掛けし23名の方に参加して頂きました。講演終了後はランチを挟んでの本音トークもあり内容の濃い充実した講演会となりました。
情報化社会の急激な進展により、その負の側面というべき様々な問題が生じてきています。
話は、先ず「BRAND REPUTATION MANAGEMENT」という聞きなれない説明からスタートし、身構えてしまいましたが、要は、WEBを中心とした情報化社会の中で様々なリスクから企業を守りかつその価値をいかに高めていくかコンサルテイングする会社であることが分かりました。
(講演要旨)
近頃、ネットの環境をめぐる誹謗中傷や事件は、枚挙にいとまがありません。但し、実際の相談件数そのものは多いが、警察が動きにくいことから検挙件数となるとごく一部でありその取り扱いは大変難しい状況です。
会社、社長又社員等のチクリ情報やくら寿司・ビックエコー・大戸屋等の食品に絡む一連の騒動、果てはビル管理会社の受水槽での泳ぎ事件等企業のブランドの毀損や損失敷いては存立をも危うくするケースも目立ってきています。こうしたケースの個人の情報発信は禁止できず、SNSを通じてあーっという間に世間に拡散します。
こうした状況からいかに会社を守るかをしっかり考えていくような時代になってきています。
これまでは会社の経営責任という面での組織のリスク中心の考え方でしたが、これからはネットリスク新時代を向かえて、情報化社会に内包する社員個人のリスクも背負う時代になってきている。
ネット上の個人情報を集め採用時や社員の調査書を事前に把握し、分析することで事前のリスク回避が大変重要です。
具体的には、WEB上の情報からAIを駆使し情報を集め解析し、専門的なノウハウを活用しながら学歴詐称、職歴飛ばし、虚偽情報等のチェック又過去の犯罪歴や停学や奇怪な行動情報を集積し履歴を作成する。
ネット情報は社会への拡散のスピードの速さやデジタルタツウーといった特性あり取り扱いはそのリスクを十分に考慮する必要ある。
今後履歴書、職務経歴書に続く第三の採用ツール・判断軸として是非ネットの履歴書を考えて頂きたい。
なお、講演後の質問タイムでは、直近の京都のアニメ放火事件やあおり運転に絡んだ女性のネット情報騒動の経緯、同社の他の企業との優位性、この分析手法が子供や孫のためにいかに役立てるのか又情報の削除は簡単に出来ないのかとか広範囲にわたり皆さんの関心の深さが窺われました。
(感想)
今回講演を聞き、今日的なネットの情報化社会の先端の事例を学び大変勉強になりました
が、今後も予期できない様々な事象が想定され本当に難しい社会に突入してきていることを実感しました。
とりわけ、性善説になりがちな日本人の社会では、勿論第一義的には企業なり、個人なりが自らリスクに備えるのは当然ですが、ネットの情報化社会の問題点や課題を整理しどのように対応していくのか倫理・教育的観点を含めて早急に官民一体となっての社会全体での体制作りを考えていく必要があると思いました。
(注)同社は、特定の人物に関するネット上のログ(個人の書き込みや評判)を収集・解析しその素性を浮かび上がらせ、人材採用に新しい基準を導入した上でその集積した個人情報を会社・団体に提供するビジネスを主にする会社です。
TVTOKYOのワールドビジネスサテライトに出演されたり朝日新聞にも掲載されたり、今注目されている会社です。
(追記)
最後になりますが、今回講演会は会員杉本さんの紹介によるもので、そのご尽力に厚く感謝申し上げます。
文責:幹事 松尾 基昭(S47経)
写真:南 博幸(S51法)