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今、古関裕而と平岡養一に想う塾応援歌


山本 健(S32 政)

いま作曲家の古関裕而がNHK朝ドラのモデルとして主役を演じている。

その長女古関紀子が私のいた小中学校で同クラスにいたので、父兄参観で学校に来られたのをおぼえている。戦時中になるが集団疎開をしていた旅館に本人が見え、オルガンを弾きながら、軍歌を数多く大声で合唱した。 あとでそれらの曲殆どがご自身の作曲であることを知った。「若い血潮の予科練の」とか、「勝ってくるぞと勇ましく」など当時のヒットソング集であった。

奥さんは時節柄和装かもんぺの母親ばかりの中でただ一人明るい洋装姿のうえ、ドラマそのものの活発なタイプであった。大声の挨拶に当時栄養も足りない疎開児童であるわれわれが元気を授かったように思う。

 ドラマではこれから早稲田の歌のくだりになる様だが、「紺碧の空」が評判良く、それでは慶應もと言うことで依頼して出来たのが「よくぞ來れり好敵早稲田」に始まる「我ぞ覇者」であった。一方的な敵対感覚でなく、早慶というお互いを認め合う良きライバルの姿が浮かび出ている様だ。また曲について自分なりに思うと、この頃からの行進曲型が独特の高低音の反復とリズム感で古関節とも言える様な爽快感があり、ここが世に受けて、沢山の応援歌(巨人軍の歌、阪神タイガース・六甲おろし、高校野球のテーマなど)に使われたと思う。

東京オリンピック・マーチ

特に東京オリンピックのテーマ曲は自分では一押しの元気付けの旋律であり、これを聴きつつ次回の五輪を迎えるのは正に至福の喜びである。

 一方、数ある応援歌の中で私の好きなのは(光あふるる三田の山)に始まる「慶應讃歌」である。旋律もさることながらその歌詞への思い入れに塾員である懐旧とほこりがにじみ出ている。クラスの親友でもう故人だが片岡平八がこの曲の三番を歌い合うとき、必ず感極まり落涙していた。そして「おーグット来たな」と盛んに口走っていた。

慶應賛歌(Youtubeへ)

実はこの曲の作詞作曲は有名な平岡養一さんで、かつてその乃木坂上にあるお屋敷に招かれたことがある。水泳部のOBであったつながりで数名で食事を頂き生の木琴を聞かせていただいた。奥さんが日系ハワイの方でいきなり靴のまま上がれと言われて驚いたが美人のお嬢さんもいて話も弾み気分高揚して帰宅した記憶がある。

慶應讃歌の一節にはさっきの「古関節」に近い抑揚があり、この点を感じられる方がおられたら共有したいと思う。

たぶん我が義塾ほど応援歌の多い学校はあまりないと思う。わが三田会、学生共に持つこの資産を大切にしつつ、今降りかかるコロナ禍での沈滞を吹き飛ばす応援歌が早く聞こえてくる様祈りたい。又、慶應義塾を支えてくれた歴史的な偉大な作曲家と作詞作曲家のこの二人を長く記憶に留めおきたい思う。

(コロナ禍の間に私の家内が庭に咲かせました。)

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