梅雨のはしりを示す冷たい雨の中、我が塾水球の学生たちが再びここ所沢にやってきた。鍛え抜かれた強靭な肉体を水深2メートルの早大プールに飛び込む。学生リーグ戦最後の順位決定戦が始まる
6月11日昼、決戦を応援すべく三田会同志6名が集まった.試合相手は一部リーグ5〜8位を狙う宿敵明治大学であった.学生たちの好意で写真を撮る岡部さんは報道席に、又我々のベンチには、会員たちにルールや戦術のわかるよう遠山、武井部員が座り、解説してくれた。
1ピリオッドは慶應反則からのペナルティーシュートなどで0〜3と劣勢からの立ち上がりになった。しかし味方フォーメーションからの守りが固まり、片山から山田へのリレーシュートがハンツーで決まると荒巻のカウンター、高橋のペナルティーシュートでたちまち同点になる。此処から2ピリオッド中間にかけて一進一退の中一点を取り取られる展開となる。
そして泳力、ハンドリングに勝る慶應が調子を上げる。
フローター高橋は恣意的な副審の摘発するオフェンスファール(フォワードのファールでこれによりボール支配が逆転する)を続けて三回取られながらもめげずにマーク二人を振り切ってゴール前シュートを決めると、此処から流れが変わり引き離す。さらにGk春名が好守備でノーマークシュートを阻止し、そのまま荒巻から大竹へのパスが通りるリレーで決めたシュートは正にキーパーの上げた得点であり賞されるものであった。
6〜4と優勢のまま第3ピリオッドにはいる.相手ボールを中盤で奪い逆モーションのアタック、更に自陣退水で不利な状態で敵の錯覚を誘い一点を追加したり、高橋〜山田へのリレー、名倉のカウンターも有り一時は10〜5と差を拡げた.
此処から敵のバックシュート、カウンターを受けると同時に味方のフェイントシュートが再三狙いすぎであったり、ゴール前イージーミスも重なって3点差に詰め寄られる。此処で味方栗原監督は慶應側からの二回目のタイムを取り試合の流れを食い止めたのは英断でありそのまま3ピリオッド終了に持ち込んだ。
4ピリオッドに入ると追い上げの意気軒高となった明治は突然当たり出したキーパーの活躍もあり猛然と反撃し出した.こちらのシュートがペナルティーを含め3〜4発阻止される間、浮き足立つ味方の間隙を縫うカウンターアタック、慌てて防ごうとする反則からの二回の退水、ペナルティーなどで連続4点を失い遂に同点から逆転のはめになる。
もう終了までわずかな時間しか残っていない。思わぬ展開に息を呑む応援団の励ましの声が飛び交う。観客席のない室内プールは真ん中に水槽を挟んでいるだけでまさに学校の大講堂と一緒である。わずかな幅のプールサイドからの応援である。言葉も音響も反響し一体となる中、攻撃パターンを変えた塾三番山本のミドルシュートがコーナーに決まった。次に山田がゴール前で激しい敵のアタックを受けながら耐え、粘り勝ちと言える格闘の末フローターシュートを決めた.水際でボールの飛沫を浴びながら選手と同じ気持ちになりきった応援メンバーも再逆転の感動に思わず目が潤むのを感じてしまう。そして錦戸選手が自陣からの長いドリブルで疲れた敵のデフェンスに泳ぎ勝ち、見事なドリシューを決めた.これが決め手となってさいごの敵のl点を凌駕し13〜12、一点差の勝利となった。
応援の我々も大汗で声枯らし実に興奮した展開であった。
野武士のたくましさがないと言われていた母校チームにこれだけの跳ね上がり魂があること、またそれを選手に反映させた監督コーチに敬意を捧げたい.地元応援の面々も感動と元気をもらい満足して帰路に着いた.ありがとう。――
栗原監督 談
コロナ禍で無観客の試合が続いておりましたが、ようやく本年度から観客が許可され選手も声援を力に変えて戦っております。早稲田大学所沢キャンパスでの試合では山本先輩を始め所沢三田会の方々の応援が大変励みになっております。このような取り組みが他の競技にも広がるよう切に願っております
今後の抱負としてやはりライバルである早稲田大学には負けないこと、これが1番の抱負になります。高校の優秀選手が簡単には入学できない環境ではありますが、工夫次第では最近のように良い結果が出せますので、ここにはこだわりたいと思います。また社会に出ても一人前の人間として認められるよう、人間力の向上にも注力していきます。
富永主将 談
本年度水球部の主将を務めます富永です。今年は学生リーグ準優勝以上と言う高い目標を掲げこれまでチーム一丸となって戦って参りました。しかし早稲田中央専修大学との試合では1点差0惜敗と言う結果におわり目標には届かなかったものの、チームとしては試合を重ねるごとに着実に成長し、力をつけていきました。
今回、所沢三田会の皆様の前で勝利した姿を見せることができたことを大変嬉しく思っています。昨年とは異なり現地での応援もいただけたことで選手たちはさらに励みを得られました。今後はチーム一丸となって努力を固め、さらなる成長と精進を目指していきます
以上
学生が地方に遠征し、、その地で三田会に暖かく迎えられるのは体育試合だけでなく、多くの分野で機会のあることと思います.後輩の役にたつのは嬉しいものです。我々三田会の本旨にも叶うものです。更にこれがきっかけとなって他の三田会にも波及するかもしれません。祈りを込め報告させていただきます。
山本健 記
写真撮影:岡部克彦(S32工)
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