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コロナで変わるライフスタイル?

                   神山 光路(S47政)


 100年前のスペイン風邪に比肩される新型コロナの終焉はいまだに見通せません。

 年初の時点でコロナは夏には一旦終息するという専門家の言は見事に外れ、世界的に第二波が拡大しています。繰り言ですが、福島原発の安全性を喧伝していた原子力専門家の顔を思い浮かべてしまいます。

 未知のコロナウイルスの終焉がいつになるのかはさておき、私たちの日々の暮らしが大きく変わらざるを得ない現実は真摯に受け止めざるを得ません。私は2011年の東日本大震災と福島原発事故を目の当たりにして、首都直下型地震と原子力発電所の脆弱性を強く意識せざるを得ませんでした。特に東京の一極集中は被害の増大化に大きく資することは間違いありません。同じくコロナの感染拡大も東京を含む大都市に集中しています。

 この都市の一極集中に変化が現実に起きつつある一つの事例に企業のリモートワーク導入が挙げられます。リモートワークとは会社から離れた場所で働くという意味ですが、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務の三つのいずれかを含んだ意味で用いられています。在宅勤務経験のない私の想像ですが、リモートワークが一般化すれば、企業は都心にオフィスをかまえる必要性が少なくなり、週の大半が在宅勤務で業務に支障がなければ、かなりの人が首都圏の近隣地域に居を移すことが考えられます。なぜなら住宅費が低減し、家のスペースも広がるし、通勤時間を有効に自分や家族のために使えることになるからです。退職した私が言うことですから、かなり無責任な発想と思われるかもしれません。社員を監督する立場にある人にはけしていいことづくめではないと思いますが。

 実は諸々の事情から私は今、周囲一面が田んぼに囲まれた千葉県の九十九里海岸にほど近い片田舎に一人住まいをしています。

春5月に収穫したタマネギ
春5月に収穫したタマネギ

千葉県を選んだ理由は首都圏の神奈川、埼玉に比べ地価が低いこと、気候が温暖で、賃貸料も手ごろな割に広い庭付きの家が見つかったためです。

 借手がしばらく見つからなかったこの家の200坪大の庭で、野菜作りをしようと、手始めに5メートル×1メートルの畝を作り始めました。


しかし、手ごわい雑草の根っ子が二層、三層に広がり、これを取り除くのは想像以上にてこずりました。鍬では歯がたたず、スコップで正方形に土を切り、取り除き、畝の底と側面を防草シートで囲いました。たった一畝を作るのに1ヶ月を要しました。畝作りの要領を体得した私は、さらに4畝作り、種から育てたスイカの苗を6本移植して、この夏に18個のスイカを収穫しました。姉や友人、近所におすそわけしても、スイカを食べ続ける毎日でした。


種から育てたスイカの苗 
種から育てたスイカの苗 

        

甘みが強く種が少ない「カメハメハ」
甘みが強く種が少ない「カメハメハ」
5Kg越えたスイカ
5Kg越えたスイカ

 今年の3月20日に友人の墓参りで都内に出かけて以降、私は約7か月コロナの影響で全く遠出せず、公共の交通機関を使わない生活を続けてきました。

 この間、朝夕2回、庭に出て野菜や花を育てていると、それまでの夜型の生活から朝型の生活へとライフスタイルが大きく変わりました。規則正しい生活と農作業による適度な運動でストレスも感じることなく、持病の高血圧も大幅に改善しました。コロナさまさまとは言いすぎでしょうか?

                          

 「を転じて福となす」という諺を思いだします。これまでの日本の企業社会は長時間労働、過労死、低い有給休暇消化率、女性管理職の少なさ、低い労働生産性など課題が山積したままです。NHKの女性記者の過労死、電通の女性新入社員の自殺など日本を代表する企業の不祥事は氷山の一角でしょう。「一億総活躍社会」、「働き方改革」を推進するうえで働く人がそれぞれ意識を変えていくことが問題解決の大前提だと私は思います。

 リモートワーク先進国のニューヨークでは近隣のニュージャージーやニューヨーク州の北部ヘと居を移す人が増え、マンハッタンはゴーストタウン化しているそうです。

 日本でもコロナによるリモートワークがジワジワと広がり、働くという意味を問い直しはじめています。そして一旦変わり始めた意識は後戻りできません。私は「withコロナ」の生活から今後どのような新しい価値観やライフスタイルが生まれ、定着していくのか、長い目で注目していこうと思っています。

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