これまでの歩みと今思うこと篠塚文雄　(S44　法学部法律科卒)

１．生い立ち

私は広島県の呉で生まれました。父親が江田島にある海軍兵学校の教官でしたので、戦後そのまま呉に住みつくことになったようです。地元の高校を出まして、青雲の志（?）を抱いて慶応義塾に進学しました。私の志望校は国立大学の医学部でしたが、受験馴れのためと称して（初めての東京に行きたくて）、早稲田と慶応を受験しました。慶応のスクールカラーと雰囲気がとても気に入りましたので、元々の志望校でない学校に、入学することに決めました。初めての東京は、とてつもなく広く、また電車に整然と列をなす姿に感動すら覚えました。

２．現在の仕事

慶応義塾を卒業しましたが、サラリーマン生活はあまり興味がなく、ひょんなことで縁ありました経理学校で、初めての簿記を習うことになり、いつしかその学校で簿記を教えるようになりました（それまでは簿記は商業学校の人達の実務作業だと軽んじていました）。だけど、それがこの道に入るきっかけになり、また一生の仕事になりました。その後、東京・所沢にある会計事務所で、実務の勉強をさせて頂きました。

そして４５歳で独立しまして、今は若い人たちに仕事を継承してもらい、税理士法人の会長として、仕事とプライベートの両方に携わりながら、比較的ゆったりと過ごさせて頂いています。以前の寝ても覚めても仕事中心の毎日が嘘のようです。

仕事以外には、当所沢三田会（副会長）を始め、地元のロータリークラブ（会長）、倫理法人会（副会長）、間税会（事務長）などに関わらせて頂いています。所沢三田会は前勤務先の代表が塾出身者であり、その関係で、現在の所沢三田会の前身の準備会の頃から、お手伝いさせて頂いていました。それと今は、所沢三田会の英語会の連絡係です。

仕事は、資産税関係の業務が多く、又農協などの顧問をさせて頂いていますので、地元税務署での相続申告件数は、トップクラスだとの評価（税務署員談）を頂いております。　　

ただ思うのですが、いくら収入が増えても、４０名近いスタッフの雇用を維持することは、大変な事だと感じています。事業経営は、すべからく“少数精鋭”であるべしと思っています。見た目の事業規模より、中身の利益確保が一番かと反省しきりです。

３．生活信条

私どもの仕事ですが、残念ながらお客様の脱税志向は思う以上で、倫理的観念なしでは、正当な業務の継続は困難のように思います。そのため、固い宗教的信念の必要性を感じ、その世界に身を投じたことがあるほどです。そして、そのことに関連するのですが、あの稲盛和夫氏の自著「哲学」で、氏はこんなことを記述しています。

『経営者は、企業が倒産することは、絶対に避けたいと思いながら、そうなる事になるのは、運・不運もあるかもしれませんが、因果応報の法則によるものだと思います。善いことをすれば善いことが起こる、悪いことをしたら悪い結果となる、短い期間ではその通りにならないかもしれませんが、１０年、２０年、３０年という長いスパンで見れば、必ずそうなっています。寸分の狂いもなく、善いことをした人は、善き人生となります。因果応報の法則は歴然と存在するのです。』

私は、この因果応報を自分の生活の信条として、いつも自分をコントロールしているつもりですが、なにしろ煩悩多き人間ですので、いつもそういう訳にはゆきません。ちょいちょい失敗を重ねます。そんなときには、あの、あいだみつお氏の「つまずいたっていいじゃないか人間だもの」をなぐさめ言葉としています。

４．今思うこと

　歳を重ねる毎に思いを強くしていることがあります。それは、人の死に様（ざま）のことです。何を縁起でもないと言われるかもしれませんが、人は必ず死を迎えることになります。どういう終末になるか、誰も自分のことながら、言い当てることはできません。

しかしながら、私のこれまでの長い人生の中で、見聞・体験した結果ですが、人様の為そして社会の為に尽くしてきた人は、そんなに苦しまないで、比較的スムーズに逝くようです。一方、人様の恨みを買ったり罵詈雑言を吐くような人は、その業を消す事に、四苦八苦の老後を、過ごすことになるようです。長い苦しみの行が続くことになります。もちろん、すべてがそうでありませんので誤解なきようにして頂きたいと思います。

　こういう私も、心臓弁膜症の手術をして、苦しい日々を送っていましたので、私もその悪業者の一員と思いますが、それで少し善人に近づく行をしたのだと、自分に言い聞かせています。先ほどの因果応報も人生の最後の時まで、付きまとってくるのでしょうか。　

所沢三田会の皆様も、良き終活を迎えることが出来ますよう、心よりお祈り致します。

これからの老後を、善き行いで良き終焉としましょう！