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クライネスコンサート感想記 

  • tokorozawamitakai4
  • 4 時間前
  • 読了時間: 3分

 猛暑がやっと終わりに近づき、地元での催しが活発になってきた。8月24日、今日は三戸さんの率いるオーケストラの公演です。指揮者チェロの小澤氏と、常連メンバーの他、世界的に有名な盲目のピアニスト梯剛之を迎え協演も組まれました。

 今回はコロナ以降久しぶりの公演であり、主催者の熱意は格別であった。ミューズ三ホールの内最も広いアークホールを選び、文化庁協力による、小中高生及び障害者無料と言う地元市民への嬉しい企画であった。そしてマス宣伝での集客でなく、地元ファンや学校、社会福祉施設など地道の呼びかけをしてきていた。関係者の努力は真面目で文化芸術を愛する人たちの共感を呼び、大勢の人が集まってくれた。開演前の会場を見渡すと、華美に着飾ったり、冷やかし的なタイプではなく皆行儀よく静かであり、真摯に開演を待っていた。

 演奏は澄んだバイオリンに導かれる「セビリアの理髪師」から始まった。リードする単音と合奏の掛け合いが楽しく、熟練した演奏を感じた。

梯さんを迎え協奏となった時、いつもクライネスを聴いて思う弦楽器主体の優しさが見事なマッチング効果を表した。どこから始まったかわからないような軽く響きの良いピアノの音色はいつの間にか曲に溶け込んでいた。梯さんは盲目ながら微動だにしない上半身から静かで早く響きの良い演奏をされていた。次の独奏曲は、定番の代表曲でさすがにすごく、感動した。

「モーツァルトはともかく優しい,自然と涙腺を刺激する」と言われているようだが、休憩時間にやってきた友人が「俺泣けてしまった」と言ったのはうなずける。

休憩を挟んでの曲はまさに新境地に挑む三戸小澤お二人の努力のものと受け止めた、創世されるものの真髄は何か、次のものを探っているのではないかと勝手に考えてしまった。

 熱演も終盤にかかり、メンデルスゾーンのメイン曲演奏となった。三田会の吉田氏のいる管楽器も加わり賑やかで気持ちが高まり楽しかった。あっという間にフィナーレとなり、アンコールはウィーンの楽しいおしゃべりの様子をイメージした「トリッチトラッチ ポルカ」で明るいリズミカルな演奏に乗せてもらった。

観客の熱情は、拍手で2曲目のアンコールとなりそうだった。指揮者がためらい間があった時、思わず「ドナウ」と叫びたくなった。そして「美しき青きドナウ」が始まった。子供の頃から好きだった曲であり、それがこのオーケストラ、その特徴に合う軽やかな3拍子に乗ると心地よく気持ちの良い終わりとなった。


 3年前三田会では、アマチュアのコンサートを地元文化事業として入場無料で行ったが、企画力、準備不足、集客見込み、そして音のレベルも低く失敗した。

今回三田会は一斉メールで来場を促進した。有志は切符、写真撮影、集客応援に協力した。三田会の本志は会員親睦、母校応援、そして地元への貢献であり目指すものは共有している。

 生で聴くきれいな音は感動を呼ぶものである。これこそがすべての人の役に立つ。今苦しい思いをしている人にも、将来の若者や児童にもその背中を押し、時に慰め、そして希望や力をくれる。今回三戸さんがこの意味でコンサートを企画したことに敬意を表したい。社会的にも今回の文化庁推薦は立派な効果をもたらしたようで、聞くところによれば、会のアンケートでは、このコンサートの感謝を小学生や主婦の方からも多く寄せられていたようだ。はじめての体験に感動したこども達もいた。皆これからの長い人生をクラシックファンとして迎えてくれると嬉しい。必ず次のコンサートに応援となる人たちになることを信じている。

関係者皆さん、熱演をありがとう。                     

                       文責:山本 健(S32政)

                       写真:岡田 充(S42商)                         

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